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Galectins Experimental Protocols and Unsolved Questions (Narratives)

Editor/ 平林 淳、佐藤 祥子

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細胞内ガレクチンの多様な非糖質リガンド

John L. Wang

last updated 2024/06/03 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (3), A10)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.27A10J

ガレクチンは、糖鎖認識ドメイン(Carbohydrate Recognition Domain: CRD)に特徴的なアミノ酸配列をもつ糖結合タンパク質である。ガレクチンファミリーの多くのメンバーは、その他に以下の2つの特徴も示す。1つは、細胞の内側にも外側にも存在すること、もう1つは、タンパク質間相互作用を介して複数のパートナーと結合することである。細胞内では、様々なガレクチンの非糖鎖リガンドの例として以下が挙げられる。(a)プロト型のガレクチン-1は、がん遺伝子のH-Rasや転写因子のOCA-B及びTFII-Iに結合する。(b)タンデムリピート型のガレクチン-8は、ガレクチン-9などの他のガレクチンや、オートファジー受容体NDP52、TRIM5α(Tripartite Motif 5α)に結合する。(c)キメラ型のガレクチン-3のNH2末端ドメインは、Tsg101等の輸送に関与するエンドソーム輸送選別複合体(endosomal sorting complex required for transport、ESCRT複合体)の因子やhnRNP A2B1などのリボ核タンパク質複合体に結合する一方、COOH末端ドメインはアポトーシス抑制因子Bcl-2、TRIM16、そして転写因子OCA-B、TFII-I及びβ-カテニンに結合する。本稿では、細胞内ガレクチンの浮気性(promiscuity)を浮き彫りにした研究の一部と、これらの発見により生じたいくつかの興味深い疑問を要約する。 ...and more

構造的、生化学的観点からあらためて問う、ガレクチンと糖タンパク質との相互作用: 一価性親和性と多価相互作用による架橋形成?

Hakon Leffler

last updated 2023/10/02 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (5), A17)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A17J

ガレクチンの天然リガンドは、主に糖タンパク質であり、スフィンゴ糖脂質ともおそらくある程度結合する。遊離状態の(編集者注:タンパク質や脂質を付加されていない)オリゴ糖に対するガレクチンの結合親和性および特異性は広く研究されているが、本来のリガンドである糖タンパク質や糖脂質に付加した状態の糖との結合についてはあまり調べられていない。糖鎖に対するガレクチンの結合性は、遊離オリゴ糖として検討した場合よりも、糖タンパク質や細胞表面に存在する状態で検討した場合のほうが、見かけの親和性が高くなることが多い。本稿では、このような現象を生じる主な要因が多価相互作用ではなく、ガレクチン-糖認識ドメイン(carbohydrate recognition domain:CRD)が提供する広範囲にわたる結合部位の寄与により一価性の親和性がより高くなることが重要であることを、その証拠を提示しながら論じる。また、このような一価の相互作用は、高い選択性を有している場合もあり、この選択性は結合する糖鎖の構造および糖鎖付加部位付近のタンパク質部分の両方によってもたらされる。これに対し、多価相互作用はさまざまな形でリガンドを架橋形成することができるのでガレクチンの機能を発揮する上で不可欠である。一価相互作用によって生じる選択性に依存している架橋形成であるが、架橋によりさらにもう1段階の選択性や親和性の追加に寄与する場合もある。本稿では主にガレクチン-1および-3に焦点を当てるが、他のガレクチンについても言及する。細胞内におけるガレクチンと糖鎖が付加されていないタンパク質リガンドの相互作用も同様に興味深いが、ここでは取り上げない。 ...and more

多面的な役割を持つガレクチン:多重人格の糖結合タンパク質

Gabriel Adrián Rabinovich

last updated 2023/6/01 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (4), A12)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A12J

多重人格障害は、異なる自己人格が自発的に発生されるという特徴を持つ精神疾患である。各人格はそれぞれに特有の形で現れ、別々の名前や生活圏、ライフスタイルを有していることが多い。ある人格から別の人格への交代は、一般的に環境および対人的要因によって引き起こされる1。この疾患の特徴は、まさにガレクチンの持つ性質に似ている。進化的に保存された糖結合タンパク質ファミリーであるガレクチンは、特定の機能に特化している多くの細胞内分子および経路とは異なり、免疫において多様な機能・役割を持っているからである。ガレクチンファミリーに属するタンパク質は、その多くが細胞内の異なるコンパートメント(核、細胞質、およびオルガネラ)間を行き来し、細胞外環境に放出される。そして、低酸素、栄養状態、細胞内外のpH、サイトカイン環境、炎症性または免疫抑制性シグナルの存在など、多様な微小環境刺激に応答して異なる役割を獲得する。免疫系におけるガレクチンは、自然免疫および獲得免疫応答を調整する重要な機能を幅広く発揮することができ、正常および疾患状態における免疫細胞の協調的な振る舞いを作り出す上で重要な役割を担っている。興味深いことに、同じガレクチンであっても、活性化、分化、免疫細胞遊走などの細胞プログラムの違いや、病原体の侵入、自己免疫による炎症、線維症、がんなどの病態によって、サイトカイン、ケモカイン、細胞接着分子、免疫チェックポイント分子、危険・ダメージ関連分子パターン(danger-associated molecular pattern: DAMP)、あるいは成長因子として機能しうる。 ...and more

ガレクチン-3にユニークな天然変性領域:構造を作らない理由と液相分離現象 ―第2部―

佐藤 祥子

last updated 2023/6/01 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (3), A8)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A8J

ガレクチン-3はガレクチン家系において、ガレクチン-1と共に最も研究されているガレクチンである。ガレクチン-3がin vitroでは、細胞内および細胞外で、そしてin vivoにおいてはさまざまな器官の機能に関与していることが報告されており、その範囲は多岐に及ぶ。前編で述べた様に、ガレクチン-3はそのN末端に、他の動物レクチンには見られないペプチドの繰り返し構造が続く「天然変性領域」を含む領域を含み、そのペプチド長はC末端のレクチンドメイン(Carbohydrate-binding domain: CBD)とほぼ同じである(図 3)。報告されているガレクチン-3の活性の多くはこの天然変性領域に依存している。また、通常は単量体で存在するガレクチン-3は糖鎖リガンドと結合したのちに、天然変性領域に依存して多量体化する。従って、ガレクチン-3の活性のほとんどは、天然変性領域が仲介する多量体形成によって調節されていると考えられている。では、他のレクチンに見られないこのユニークな天然変性領域がどのようにガレクチン-3の多量体化に関与しているかについて、後編では最近の知見を取り入れながら、さらに掘り下げ、そこから多量体化とガレクチン-3の多岐にわたる機能との関係について探っていきたい。 ...and more

ガレクチン-3にユニークな天然変性領域:構造を作らない理由と液相分離現象 ―第1部―

佐藤 祥子

last updated 2023/2/01 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (1), A1)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A1J

ガレクチン-3は他のガレクチン家系メンバーと構造的に全く異なる。C末端のβ-ガラクトシドに親和性のあるレクチンドメイン(Carbohydrate-binding domain: CBD)に加えN末端にCBDとほぼ同じ長さの非レクチン部分がガレクチン-3には存在するからだ。非レクチン部分の大部分はプロリン、グリシン、チロシンに富んだ9〜13個のアミノ酸からなるペプチドが9〜12回繰り返した構造で、特定の二次および三次構造を形成しない「天然変性領域」である.。過去数年の研究で、糖鎖に結合したガレチン-3がこのN末の変性領域を介して液–液相分離(Liquid-liquid phase separation、以下LLPS)に関与している可能性が示されてきた。 ...and more

ミルクオリゴ糖とガレクチン: “番外編”

不都合な新規ミルクオリゴ糖の発見:先端分析技術がもたらす混乱と展開

浦島 匡 / 平林 淳

last updated 2022/12/01 (Glycoforum. 2022 Vol.25 (6), A15)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.25A15J

ヒトの乳に12~13 g/Lの濃度で含まれるオリゴ糖(ヒトミルクオリゴ糖, HMOs)は、これまでに約250種類が分離され、160種類以上の化学構造が決定されている。それらはフコースやシアル酸を含まないコア骨格構造に基づいて、20のシリーズに分類されるが、コア骨格の生合成系はiGnT, IGnT, β3GalT, β4GalTの活性に基づいて提案されている。また、ウシの初乳からも約50種類のミルクオリゴ糖が分離・構造決定されているが、それらのコア骨格の生合成経路も提案されている。 ...and more

ガレクチンの一生:細胞及びin vivoの役割を知る上で必要な時間、濃度、親和性に関するいくつかの問い

Hakon Leffler

last updated 2022/10/03 (Glycoforum. 2022 Vol.25 (5), A12)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.25A12J

ガレクチンとガラクトースの起源 ―第2部―

平林 淳

last updated 2022/08/01 (Glycoforum. 2022 Vol.25 (4), A9)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.25A9J

ガレクチンとガラクトースの起源 ―第1部―

平林 淳 / 鈴木 龍一郎

last updated 2022/06/01 (Glycoforum. 2022 Vol.25 (3), A6)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.25A6J

流動的なガレクチン格子:糖鎖の生物学的等価性(bio-equivalence)を読み解く鍵

Haik Mkhikian / Michael Sy / James W. Dennis / Michael Demetriou

last updated 2021/08/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (4), A10)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A10J

ミルクオリゴ糖とガレクチン: “番外編” グライコサイエンスの観点から

母乳に含まれる大量の“ガレクチン剥離剤”、ミルクオリゴ糖~なぞに包まれたその機能

小林(仁尾)純子 / 浦島 匡 / 平林 淳 / 佐藤 祥子

last updated 2021/10/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (5), A13)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A13J

通常、レクチンと糖の親和性はµMオーダーであるが、ミルク中には、オリゴ糖が10 mM以上、ラクトースにいたっては100 mMを超える濃度で糖が豊富に含まれる。この濃度は、レクチンの解離定数の観点からみると衝撃的な濃さであり、ガレクチンを含む多くのレクチンの糖結合活性は阻害されてしまうだろう。この阻害活性の生物学的な意味は何であろう?また、消化管内や体内でのミルクオリゴ糖濃度はどうなっているのだろう?と、いくつもの疑問がわいてくる。
そこで、今回は、ミルクオリゴ糖が生体内でどう利用され、どのような役割をはたすか、また、消化管に豊富に発現するガレクチンの機能との関係について、推測、妄想、議論を深めたい。そして、哺乳類がラクトース生合成能を獲得し、乳児の栄養源として利用したことが『哺乳類の成功の鍵』といわれる理由について、改めて考察してみたい。...and more

ミルクオリゴ糖とガレクチン: “番外編” グライコサイエンスの観点から

飼育下でミルクオリゴ糖は変化するか:構造収束と多様化のメカニズム

浦島 匡 / 佐藤 祥子 / 小林(仁尾)純子 / 平林 淳

last updated 2021/08/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (4), A11)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A11J

本編「ミルクオリゴ糖とガレクチン」(Glycoforum. 2021 Vol.24 (2), A3)の中で、ラットミルク中のオリゴ糖のほとんどは3’-SLと6’-SLであるのに対し、齧歯目のローランドパカ(Cuniculus paca)のミルクはそれ以外にもより複雑なミルクオリゴ糖を含んでいることを紹介した。このことから直観されるのは、実験動物のミルクオリゴ糖は多様性を失い、単純化しているのでは、という考えである。一方、最近極微量ではあるが、ラットやマウスの乳にも硫酸化した3’-SLなど他のオリゴ糖も発見されている。ミルクオリゴ糖の構造多様性はどのようにして決定しているのであろうか。「番外編」第2弾はこの点に絞って議論してみたい。...and more

ミルクオリゴ糖とガレクチン: “番外編” グライコサイエンスの観点から

ラクトース合成酵素β4Gal-T1が獲得した分子スイッチと基質認識のよろめき

浦島 匡 / 佐藤 祥子 / 小林(仁尾)純子 / 平林 淳

last updated 2021/06/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (3), A6)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A6J

本稿はグライコフォーラムVol. 24 (2)に 掲載の「ミルクオリゴ糖とガレクチン」(浦島、平林;以下、本編という)のspin-off、いわば「番外編」である。本編では賄いきれなかったテーマの延長上にある、さらなる議論や未解決課題について、ざっくばらんに、かつ自由、闊達な立場で著者らの仮説(妄想)を展開しようと思う。フォーラムという建付けをご理解の上、お付き合いいただきたい。 ...and more

ミルクオリゴ糖とガレクチン

浦島 匡 / 平林 淳

last updated 2021/04/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (2), A3)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A3J

Hans-Joachim Gabius先生弔辞

last updated 2021/9/26 (Glycoforum)  

ガレクチン:(ラクトース結合)レクチンを超えた多彩な機能

Hans-Joachim Gabius

last updated 2021/02/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (1), A1)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A1J

ガレクチンの鍵穴は大まかで、鍵はすぐに抜ける

笠井 献一

last updated 2020/12/01 (Glycoforum. 2020 Vol.23 (6), A17)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.23A17J

組換えガレクチンタンパク質の発現と精製に関するノート

西 望

last updated 2020/10/01 (Glycoforum. 2020 Vol.23 (5), A15)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.23A15J

新シリーズ「ガレクチン」~実験プロトコールおよび未解決問題(講話)を始めるにあたって

平林 淳 / 佐藤 祥子

last updated 2020/10/01 (Glycoforum. 2020 Vol.23 (5), A14)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.23A14J
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