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Oct 02, 2023

構造的、生化学的観点からあらためて問う、ガレクチンと糖タンパク質との相互作用
一価性親和性と多価相互作用による架橋形成?
(Glycoforum. 2023 Vol.26 (5), A17)

DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A17J

Hakon Leffler

Hakon Leffler

Hakon Leffler
Hakon Lefflerは、スウェーデンのヨーテボリ大学で1974年にMD、1981年にPhDを取得し、1985~86年にカリフォルニア大学サンディエゴ校でSH Barondesのグループに加わった。1986~1997年にBarondesとともにカリフォルニア大学サンフランシスコ校に移り、以降スウェーデンのルンド大学に所属、現在は上級教授(Senior Professor)を務めている。PhD時、及び初期の研究では、スフィンゴ糖脂質の単離と構造、細菌接着の受容体としての役割をテーマとした。1985年以降は、ガレクチンに関する生化学的研究(発見や特異性解析)、構造と細胞における働きに関する研究を主として行っている。共同研究の過程で強力な阻害作用を有する低分子化合物の開発に携わり、そのいくつかは現在、線維性疾患やがんに対して臨床試験が進行している。この経緯から、Galecto Biotech AB社(現Galecto Inc.;NASDAQ:GLTO)の共同設立者となっている。

抄録

ガレクチンの天然リガンドは、主に糖タンパク質であり、スフィンゴ糖脂質ともおそらくある程度結合する。遊離状態の(編集者注:タンパク質や脂質を付加されていない)オリゴ糖に対するガレクチンの結合親和性および特異性は広く研究されているが、本来のリガンドである糖タンパク質や糖脂質に付加した状態の糖との結合についてはあまり調べられていない。糖鎖に対するガレクチンの結合性は、遊離オリゴ糖として検討した場合よりも、糖タンパク質や細胞表面に存在する状態で検討した場合のほうが、見かけの親和性が高くなることが多い。本稿では、このような現象を生じる主な要因が多価相互作用ではなく、ガレクチン-糖認識ドメイン(carbohydrate recognition domain:CRD)が提供する広範囲にわたる結合部位の寄与により一価性の親和性がより高くなることが重要であることを、その証拠を提示しながら論じる。また、このような一価の相互作用は、高い選択性を有している場合もあり、この選択性は結合する糖鎖の構造および糖鎖付加部位付近のタンパク質部分の両方によってもたらされる。これに対し、多価相互作用はさまざまな形でリガンドを架橋形成することができるのでガレクチンの機能を発揮する上で不可欠である。一価相互作用によって生じる選択性に依存している架橋形成であるが、架橋によりさらにもう1段階の選択性や親和性の追加に寄与する場合もある。本稿では主にガレクチン-1および-3に焦点を当てるが、他のガレクチンについても言及する。細胞内におけるガレクチンと糖鎖が付加されていないタンパク質リガンドの相互作用も同様に興味深いが、ここでは取り上げない。

1. 結合、結合親和性(affinity)、および結合強度(avidity)とは何か? これらは何によって規定されるのか?

分子間の結合とは、実験的に複合体が観察されるのに十分長い時間、分子同士が共存していることを意味する。結合の強さとは、大ざっぱに言えば、結合していない成分が除去または希釈されたときに、複合体がどの程度ばらばらになりにくいかという度合いのことである。

結合親和性(affinity)は、平衡時における遊離成分に対する複合体の濃度と定義され、結合定数(Ka)または解離定数(Kd)として測定される。最も一般的な1:1の相互作用では、Ka=[AB]/[A]*[B]およびKd=[A]*[B]/[AB]と計算される。

Kaの値は、結合が強いほど大きくなり、この点では直感的に理解しやすいが、モル濃度-1として表される点では直感的にわかりにくい。そのため、結合が強いほど値が小さくなるという性質はあるものの、Kdを用いることが好まれている。なぜなら、Kdはモル濃度として表されることに加え、生物学的条件下などにおける既知濃度の成分について予想される結合の様子がイメージしやすいからである。KaおよびKdは、相互作用について厳密な数理モデルを仮定できる場合であれば、2つ以上の成分からなる複合体についても定義できる。しかし、生物学では多くの場合、状況がさらに複雑であり、このような定義をすることが不可能であるため、代わりに結合強度(avidity)を用いて結合力が表される。結合強度は、それ自体が追加の力ではないが、数学的に表現することが容易ではない強度の尺度と見なすことができる。

結合が生じるか否かは、結合した複合体の状態と遊離状態との間で、ギブス自由エネルギーに負の差があるかどうかによって決まる。多くの場合この差は、エンタルピーおよびエントロピーを含め多くの要素が関わる2つの総体間の小さな差であり、この計算は未解決かつ活発な研究がなされている課題である1-3。エンタルピーの変化は、種々の直接的な相互作用に関連しており、例えばIsothermal Titration Calorimetry(ITC)を用いると熱放出として測定できる。エンタルピー変化を相殺するように働くエントロピー変化は、統計学的な場合の数に関連しており、これらは例えば、タンパク質、リガンドおよび関与する水分子の無秩序性や可動性の変化などとして測定される。このように複雑ではあるが、次のようにシンプルに考えるとわかりやすい4,5。2つの分子が複合体を形成すると、1つの粒子(複合体)は全体として、2つのパーツに別れていたときよりも、無秩序性および可動性(並進および回転)が小さくなるため、常にエントロピーの損失が生じる。この損失の大きさは15〜20 kJ/mol、すなわち298Kにおける親和性の約3桁分に相当すると推定されている5。結合を観察するためには、このいわゆる「強固な」エントロピー損失に、他の相互作用(エンタルピーとエントロピーの両方)のエネルギーを合わせて打ち勝つ必要がある。しかし一旦打ち勝つことができれば、共有結合フラグメントをリガンドに付加するなど、小さな相互作用を加えるだけで、結合を大きく増強できる可能性がある。ガレクチンに関しては、巧妙に配置された保存部位へのガラクトースの結合が、Kdの値をmMの範囲で増加させるため、強固なエントロピー損失に「見合う」ものになっている(図 16 。さらに、ラクトースのようにガラクトースにグルコース残基(水素結合を付加的に生じさせる-OHが1つしかなく、有利なエネルギーが10 kJ/molの範囲内にある)が加わると、グルコースの結合それ自体は弱すぎて検出できないにもかかわらず、親和性を100倍高めることができる。ガラクトースの還元末端、非還元末端いずれかの側に小さな人工分子を付加すると、親和性を最大100万倍に増強することもできる7。付加される相互作用部位は、元の部位から離れた場所にあることもあり、例えばガレクチンと糖タンパク質の相互作用の場合には、大きなN-結合型糖鎖の他の部位に小さな相互作用が生じているほか、タンパク質間相互作用の寄与も重要である。多価相互作用も同様に親和性を上昇させる。すなわち、最初の結合部位が強固なエントロピーに見合うエネルギーを提供し、付加的な相互作用部位断片がさらに親和性を増強させるのである。

上述のすべての場合において、親和性の増加は、初期の結合相互作用の変化やリンカーによる干渉、完全ではない相互作用の付加によって失われ、相殺されうる。三分岐糖鎖におけるガラクトース残基の間隔は、三量体のC型レクチン(肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体)の結合部位に一致し、単分岐糖鎖のガラクトースと比べて100万倍高い親和性をもたらしており8、この事実が糖鎖クラスター効果という概念の誕生につながった9。しかし、ガレクチンについては、多価相互作用によって親和性や結合活性が強力に増加したという報告はない。ここで用語の意味を明確にしておきたい。タンパク質の折りたたみ単位(約130アミノ酸)をドメインと呼び、複数の折りたたまれたドメインを持つタンパク質に対して多価(multivalency)という用語を用いることとする。リガンドが結合するドメイン内の特定の場所に対しては、サイトまたはサブサイトという用語を使用する。1つの糖認識ドメイン内に複数のサブサイトが存在する場合にも、多価性という用語を使用しうるが、ここでは意味を明確にするために、このような意味では多価という言葉を使用しないこととした。

図1
図 1
A)主要な脊椎動物ガレクチンの系統樹。
典型的な約130アミノ酸のガレクチン糖認識ドメイン(CRD)(ガレクチン-3上のCRD)を赤色で囲んである。
B)X線解析で調べられたガレクチン-3のCRDの構造(pdb3ZSJ)を透明な白い曲面で示し、内部のβ-シート構造をリボンダイアグラムで示した。屈曲したβ-サンドイッチの凹面側の溝に沿って示したのは四糖(ラクト-N-ネオテトラオース)である。Consortium for Functional Glycomics(CFG)が推奨するカラースキーム(33)に従い、Gal残基を黄色、GlcNAcおよびGlcを青色で示した。サブサイトはA、B、C、およびDで示されている。定義がより曖昧なサイトEに関しては、サブサイトDの位置にある糖の還元側と相互作用する可能性があることを示した。
C)サイトC-Dにおける結合の拡大図(Gal残基の強固な配置)。4/6位のOH基および環酸素と水素結合を形成する複数のアミノ酸側鎖に加えて、Galの底面と疎水性のスタッキング相互作用を生じるTrp181を示した。
D)サブサイトEのある側の端から見たヒトガレクチン-3のCRD。結合した四糖を還元末端の側から見ることができる。タンパク質表面にArg186の位置を示した(青灰色)。

2. 短い糖鎖に対するガレクチンの特異性

ガレクチンは、約130個のアミノ酸から構成される糖認識ドメイン(CRD)を1つ以上有するタンパク質と定義される。CRDは、わずかに屈曲したβ-サンドイッチ構造を形成し、その片側には四糖分子分とほぼ同じ長さの溝がある(図 1AおよびB)。この結合溝において基準となるサブサイトの位置はA、B、C、およびD10と名付けられている。このうちサブサイトCは、保存されたアミノ酸配列モチーフで構築されており、ガラクトース残基を抱え込む(図 1C)。この働きは、上述の表現に合わせて言えば、結合時の強固なエントロピーの損失に見合うエネルギーを提供しているということである。要約すると、短い糖鎖に対するガレクチンの結合プロファイルから、結合サイトが予測された11,12。そして、X線結晶構造解析により結合サイトが確認され、結合するか否かに関して以下に示すような単純な規則が定式化された6,13-18

サブサイトAおよびBにおける単糖とガレクチンの相互作用は、サイトCにおけるガラクトースとの相互作用よりも弱いが、結合を大きく増強または低下させ、場合によっては結合を阻害することもある。この場合の糖類にはシアル酸が含まれる。シアル酸は、ガラクトースの6位に連結すると結合を阻害するが、3位に連結すると、ガレクチンの種類によって、結合を増強したり、許容したり、あるいは阻害したりする。他の例としては、コアにあるガラクトースの3位にα-結合したGalまたはGalNAcがある(血液型決定因子の一部など)。これらの糖も、ガレクチンの種類によって、結合を増強または低下させうる。最後に、GlcNAcβはサブサイトBに認められるほか、別のGalによってサブサイトAにまで入り込むことで、ガレクチン-3をポリ-N-アセチルラクトサミン鎖の内部にあるLacNAc残基と結合させることができる。

興味深いことに、サブサイトAおよびBを構成するアミノ酸配列は、脊椎動物のガレクチンCRDを比較した場合に、さまざまなガレクチン間の比較においても、特定のガレクチンにおける種間の比較においても、保存性が非常に低い(図 2)。この保存性の低さは、他の因子によって生み出される糖鎖末端部分の変化を許容するための適応なのかもしれないし、動物種ごとに異なる特定の重要な糖鎖末端部分を認識するための適応なのかもしれない。あるいは、異なる組織発現を有するガレクチン間におけるサイトA-Bの特異性の差が、組織における糖鎖への適応を反映している可能性もある。例えば、腸管におけるガレクチン-1の近縁分子であるガレクチン-2は、腸管上皮に発現していて19血液型決定因子への親和性が高いが14、ガレクチン-1のように2-3シアリル化糖鎖への親和性は高くない。

サブサイトDにも多様性が認められる。ガレクチン-1および3に関しては、Galβ1-4GlcNAcがサブサイトC-Dに親和性の高い二糖であることが初期に明らかにされ、しばしば糖タンパク質や細胞表面のガレクチンに対する主要な二糖結合部位であると引用されてきた。しかし、これは他のガレクチンには当てはまらない16,20。例えばガレクチン-8Nは、Galβ1-4GlcNAcよりも、Galβ1-3GlcNAc、Galβ1-3GalNAc、およびGalβ1-4Glcと強く結合する6。サイトDにおいて、水素結合に関与しているGlcNAcのOHをフコシル化すると、結合が阻害される11,12。サブサイトDにある糖の環状構造を還元的アミノ化標識などによって開裂させると13,16、本来の閉環構造がなくなって、多くの場合、結合が弱くなる。

サブサイトEは厳密に定義されているわけではないが、サブサイトDに位置している糖の還元末端側において、別の糖またはアグリコンとさらなる相互作用を引き起こす可能性が示されている。結合に関する実験データを評価する際には、サイトDにある還元末端の糖とサイトEにある付加リンカーの修飾に注意することが特に重要である。例えば、蛍光異方性 (fluorescence anisotropy)により直接的な結合を分析する際に用いられるフルオレセイン標識体で修飾された場合は、非誘導体化糖と比べて結合が有意に増強することが多い6,15。アレイのようにある表面上に糖鎖を固定化しても、サイトEと相互作用する可能性のある構造が増えてしまうのを避けることはできない21

図2
図 2. ヒトガレクチン-3のCRD(黒色)と比較したアミノ酸配列の動物種間における差異
A)糖結合側(S側、図1Bと同じ側)から見た図。保存されているサイトC-Dを緑色で示した。
B)CRDの裏面(F側)から見た図。最も顕著な違いが見られる黒色の部分は、サブサイトAおよびBの周辺に認められるが、他の場所にも見られる。

3. N-結合型糖鎖に対するガレクチンの特異性

複合型(ガラクトースを含む)N-結合型糖鎖は、ガレクチンの主要な結合部位である。というのは、Mgat1という重要な酵素の欠失などによって複合型N-結合型糖鎖が消失すると、細胞表面へのガレクチンの結合がほぼ0にまで低下するためである22,23。N-結合型糖鎖のうち、ガレクチンのサブサイトC-Dで結合するのは、ガラクトースを含む二糖類であり、なかでもLacNAcが多い。サブサイトA-BおよびDにおけるこの二糖類の修飾は、前述の短い糖鎖と同様に、結合に影響を及ぼすと考えられるが、実際の研究は少なく、前項で述べたシアリル化に関するものに限られている21,23-25

また、ガレクチンの親和性および選択性は、N-結合型糖鎖が有しているアンテナ構造の数と位置によって変化するという明確な証拠がある。とりわけ、柔軟であると言われることの多いN-結合型糖鎖が、明確に優先される立体構造が存在することには注目にすべきである26-28。回転可能な結合のうち主なものは、Manの6位結合および3番目のアンテナ構造におけるGlcNAcの6位結合である。一方、残りのグリコシド結合はエキソアノマー効果のためにあまり回転できない(図 3)。したがって、複合型N型糖鎖については、好ましい立体構造のそれぞれを規定する、やや狭いエネルギーの谷をいくつか定義することができる26。これらの谷の深さは最大で18 kJ/molであったことから、糖鎖がその好ましい構造から大きく逸脱した場合に生じうる結合に対して、最大で1000倍のペナルティが生じることが示唆される。

図3
図 3. 非シアリル化複合型四分岐型N-結合型糖鎖の構造およびコンフォメーション
上中央に模式図を示し、他の4つのパネルには取りうる可能性が最も高い4つのコンフォメーションを示した(情報はGlyCam.orgより取得。[Woods Group。(2005-XXXX) GLYCAM Web。ジョージア州アセンズ、ジョージア大学複合糖質研究センター(http://glycam.org)])CFGの推奨に従って単糖類の色分けを行い、Galを黄色、GlcNAcを青色、Manを緑色としたが、タンパクに最も近いコアdi-GlcNAc構造は、見やすくするために点描で示した。コンフォメーションは、N-結合型糖鎖の上側から見た図として示している。Man残基のうち2つは中央にあるManの3位または6位に結合しており、さらにこの中央のManはコアであるdi-GlcNAcに結合している。アンテナ(GalGlcNAc、黄色および青色)は、それぞれ2位および4位あるいは6位でMan残基のいずれかに結合している。これらの結合は、各アンテナにつき2つの数字で表される:1つ目の数字はManへの結合位置を、2つ目の数字は中央のManに対するManの結合位置を示している。したがって、例えば4,3は、アンテナがManの4位に結合しており、さらにこのManが中央にあるManに3位で結合していることを意味する。
糖環の間の結合に酸素が1つしかないほとんどのグリコシド結合は、しっかりと折りたたまれたタンパク質ほどではないが可動性が低く、特定のコンフォメーションを取りやすい。6位への結合は例外である。なぜなら、このグリコシド結合において酸素がある部位の次にある結合は炭素-炭素結合であり、図中の赤い矢印で示されているように、より自由に回転できるからである。四分岐型糖鎖にはこのような結合が2箇所あり、それぞれに好ましい回転状態が2つずつあるため、図に示したような存在確率の高い4つの組み合わせが得られる。

結合の強さは、N-結合型糖鎖自体との相互作用だけでなく、N-結合型糖鎖が何に結合しているか(糖タンパク質内における特定の位置など)にも影響を受ける。これらの相互作用は、定義のやや曖昧なサブサイトEにおける相互作用を反映している可能性が高い(図 1D)。図 4Aは、種々の一般的な非シアリル化N-結合型糖鎖と結合しているガレクチン-3 CRDの分子モデルを、その糖鎖の還元末端にあるリンカーのフルオレセイン(この部位に結合している可能性のある構造のマーカー)とともに示してある。すべてのN-結合型糖鎖に含まれているLacNAc一残基をサイトC-Dに抱え込むが、残りのN-結合型糖鎖、特に還元末端が向いている方向は、ガレクチンの側から見ると、その残基の位置によって非常に異なる。この差によって、還元末端部分との間、さらにはサイトC-DにあるLacNAc以外のN-結合型糖鎖との間に、さまざまな増強的あるいは阻害的な相互作用が生じる。

このモデルを支持する(ただし証明するものではない)直接的な証拠が、蛍光異方性(FA)により示されている(図 4B23。ガレクチン-3濃度を上昇させながら、ある1種類のフルオレセイン標識N-結合型糖鎖の力価を測定すると、結合が生じるにつれてFAが増加する。最大増加の約半分の濃度は親和性(Kd)を反映するが、ここで同時に注目すべきは、到達した最大値(Amax)である。この値は、ガレクチン-N-結合型糖鎖複合体内におけるフルオレセイン部分の可動性を反映していると考えられる。ガレクチン-3は、トリマンノースコアに4位結合した3番目の鎖(アンテナ)を持つ三分岐型および四分岐型N-結合型糖鎖(図4Aの2,2,4三分岐型および図 4Bの四分岐型糖鎖)に対して最も高いAmax値を与え、トリマンノースコアに6位結合した3番目の鎖を持つ三分岐型N-結合型糖鎖(図 4Aの2,2,6)および二分岐型N-結合型糖鎖との間ではAmaxの値が低かった23。前者の場合は、三分岐型(図 4Aにおける左上のモデル)および四分岐型N-結合型糖鎖(図 4B、左上)を修飾しているフルオレセイン部分およびリンカーが、ガレクチンタンパク質の表面近くに来るが、他の場合はそうではないことから、この近接がフルオレセインの動きを妨げていると考えられる。四分岐型N-結合型糖鎖とガレクチン-1のモデル(図4B左下)では、フルオレセイン部分がタンパク質の近傍になく、ガレクチン-1に対するAmax値がすべてのN-結合型糖鎖で低い。

図4
図4 N-結合型糖鎖へのガレクチン-1および-3の結合
A)4種類のN-結合型糖鎖に結合するガレクチン-3

ガレクチン-CRDと各グリカンを別々の表面として示してある。単糖類の色分けは、CFGの推奨に従い、Galを黄色、GlcNAcを青色、Manをフォレストグリーンとした。各糖鎖の還元末端にあるフルオレセインおよびリンカーは、明るい緑色のスティックモデルとして示した。各糖鎖の模式図をそれぞれのモデルの横に示した。ガレクチンと結合するアンテナには線を付した。数字に関しては図3で説明した通りである。6位への結合は、直線ではなく右向きの直角で示した。
B)四分岐型N-結合型糖鎖に結合したガレクチン-3(上側、白色)およびガレクチン-1(下側、水色)の比較(図の示し方はパネルAと同様)
各モデルの右側のグラフには、ガレクチン濃度を上昇させながら測定したさまざまなフルオレセイン標識糖鎖の蛍光異方性を示した(イタリック体で示した数字は、パネルAのものと同じである)23。ガレクチン-3は、本文で述べたように、N-結合型糖鎖の種類によって異方性の増加レベルが異なるが、ガレクチン-1は、糖鎖の種類によらず異方性がわずかしか増加しない。

FAアッセイで得られた結合の傾向は、あるアレイに対するガレクチン-3の結合と一致しており、2,2,4三分岐型および四分岐N-結合型糖鎖に対する結合の強さがより明確に認められる21。一方で、還元末端への付加の無い(実際には還元末端のGlcNAcが1つ少ない)、可溶性の阻害剤を用いて試験を行った場合には、さまざまなN-結合型糖鎖がガレクチン-3に対して同等の結合性を有していることが示されている29。このことから、N-結合型糖鎖間における選択性の違いは、還元末端に何がどのように結合しているかによって生み出されていると考えられる。

糖タンパク質の側からはさらに、少なくとも三分岐型N-結合型糖鎖がないと、血清ハプトグロビンはガレクチン-1に30、トランスフェリンはガレクチン-325に結合できず、機能的影響が生じることが示されている。別の例では、糖タンパク質CD98内にある特定の糖鎖付加部位が、ガレクチン-3の結合の結果生じる作用、すなわちエンドサイトーシスを促進するか阻害するかを決定していることが明らかにされた18,31

ガレクチンにおけるサイトEの役割を示す証拠は、この部位に存在する残基を変異させる(ガレクチン-3のR186S15,32、およびガレクチン-1のR74S変異体(未発表))ことでも得られている。この変異により、基本的にガレクチンは糖タンパク質に結合しなくなるが、LacNAc二糖のサイトC-Dへの結合はなくならない。

直鎖ポリラクトサミン(Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAc-R、i抗原とも呼ばれる)は、N-結合型糖鎖に結合していることがあり、いくつかのケースでは6位結合の鎖に優先的に結合している33。ガレクチン-3は、これらの分子内にあるLacNAc残基と高い親和性で結合する可能性がある11,14。ポリラクトサミンを酵素によって除去すると結合が失われることから、ガレクチンの結合にポリラクトサミンが必要な場合があることが示唆されている(ラミニンや細胞表面への結合など)14,34,35。特に注目すべきは、内部のGal残基に6位結合したLacNAcの分岐を有するポリラクトサミン(Galβ1-4GlcNAcβ1-3(Galβ1-4GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAc-R、I抗原とも呼ばれる)である。このような構造を有する赤血球の糖ペプチドは、ガレクチン-3の強力な阻害剤であることが知られていたが(当時は、RL29およびHL-29と呼ばれていた11,12)、近年になってようやく、この構造がガレクチンリガンドとして注目されるようになった36。ガレクチン-1は、ポリラクトサミンの末端のLacNAcにのみ結合するが、これはおそらく、より外側に存在しているために、細胞表面においてアクセスしやすいからである35

4. O-結合型糖鎖に対するガレクチンの特異性

最も一般的なO-結合型(ムチン型)二糖であるGalβ1-3GalNAc(=T抗原)は、それ自体ではガレクチン-1および-3と弱くしか結合しない。しかし、多くの論文において、ガレクチン-3受容体であることが示されてきた。ただしこのような知見は、説得力のない結合アッセイの結果と、サブサイトEにおけるペプチド部分の相互作用が寄与している可能性が組み合わさって得られたものである37,38。一方で、Galβ1-3GalNAcおよびその3-シアリル化型は、ガレクチン-8Nと強く結合するため、おそらくこのガレクチンに選択性を持ったリガンドと考えられる6。O-結合型糖鎖は、LacNAcを含む(コア-2、-3、および-4のような)構造、さらにポリラクトサミンによって伸長しうる。ポリラクトサミンはおそらく、N-結合型糖鎖中に存在する場合と同様にガレクチンと結合する33

これまでに得られたデータから言えることは「ガレクチンがO-結合型糖ペプチドを認識する力がどのように生じているかは、依然としてその大部分が未解明である」ということである38

5. スフィンゴ糖脂質型糖鎖に対するガレクチンの特異性

スフィンゴ糖脂質由来のラクト系糖鎖の中には、乳由来の遊離糖鎖やその類縁体と同じものがあり、これらの糖鎖は、上述の短い糖鎖の規則に従ってガレクチンと結合する。他のスフィンゴ糖脂質由来の糖鎖は、コアとなる結合規則から逸脱しているため、ガレクチンのリガンドとして弱い結合しか示さない11,17,18。例えば、グロボ系(Galα1-4Gal)およびガングリオ系(GalNAcβ1-4Gal)の典型的な構成要素は、どのガレクチンともあまり結合しない。対照的に、グロボ系四糖の末端にあるGalNAcβ1-3GalやGM1ガングリオシドの末端に見られるGalβ1-3GalNAcは、ガレクチンと非常によく結合する(ガレクチン-8Nなどは、これらの二糖類と優先的に結合する)39,40。GM1ガングリオシドの糖鎖は、ガレクチン-3と中程度(ラクトースと同程度)に結合する一方で、ガレクチン-1とは全く結合しない37。ラクトース残基をセラミドに直接結合させると、サブサイトEとセラミドの相互作用が膜の密接な結合に寄与する可能性があるが、この可能性についてはほとんど検討されていない。エンドサイトーシスに関する糖脂質-レクチン(GL-Lect)仮説18,41では、ガレクチン-3がまずN-結合型糖鎖に結合して架橋を生じ、その後スフィンゴ糖脂質の結合部位を何らかの形で露出させると考えられているが、後者のメカニズムや特異性は不明なままである。

6. インタクトな糖タンパク質に対するガレクチンの親和性

溶液中の試験では、未処理の糖タンパク質は、ガレクチンに対して、その構成要素である糖鎖単独よりもはるかに高い親和性(μM未満)を示すことが多い。このような現象は、いくつかのケースにおいて、一価の相互作用によって生じることが示されており42,43、多価相互作用の役割は限定的である。ただし、ガレクチンと糖タンパク質のタンパク質部分(サブサイトEなど)との間に生じる付加的な相互作用が親和性に寄与している可能性もあり、このことは上述のガレクチン-3のR186変異体によって示されている。あるガレクチン-3のNMR分析では、糖蛋白質(CD146)への結合は、コアの糖結合サイト(A, B,C, D)44の外側の部位も関与していることを示唆している44

2つのGlcNAcおよび3つのマンノースを有するコア構造は、N-結合型糖鎖のすべての複合体に共通しており、 図 5に示したようなX線結晶構造解析によって細部を観察すると、糖タンパク質表面付近にしばしば見出されることから、この部位にもガレクチンとの相互作用が十分に生じうることが示唆される。糖タンパク質上でN-結合型糖鎖のモデリングを行うと、N-結合型糖鎖の種類によっては近傍のタンパク環境が大きく変化するため、ガレクチンとの相互作用は複雑になり、45で示されているようにさまざまな可能性が考えられる。この点を考慮すると、糖タンパク質内の糖鎖における特定の部位も親和性に関与することになるため、研究が非常に複雑になり現時点ではほぼ未開拓である。ガレクチン-3が細胞表面CD98のエンドサイトーシスに及ぼす影響を検討した研究では、4つのN-結合型糖鎖付加部位のいずれかを除去すると、その部位によって劇的に異なる効果が認められた31。それにもかかわらず、N-結合型糖鎖の構造は、ガレクチン結合の選択性とそれによってもたらされる生物学的機能も決定している。トランスフェリンとガレクチン-3、ハプトグロビンとガレクチン-1の結合においては、前述のように少なくとも三分岐型N-結合型糖鎖が必要であり、これらの糖鎖を含む(ガレクチン)結合分画は、エンドサイトーシス後の細胞内運命が非結合分画と異なっている25,30。一方、さまざまな糖鎖修飾変異CHO細胞に由来するエリスロポイエチンのグリコフォームを用いてガレクチン結合を比較した研究においては、明確な結果が得られなかった23

図5
図 5. X線結晶構造解析によって可視化されたN-結合型糖鎖の一部分
構造はヒトα5インテグリン(pdb 7nxd)のものである。タンパク質は白色半透明の表面として示し、糖は図 3と同様に示した。右上隅には模式図を示した。糖鎖が結合しているAsn275は、半透明表面内部(左側)にフォレストグリーンで示した。1つのGlcNAcを除き、アンテナはX線構造解析において分解されなかった。よく見られることであるが、糖鎖は真っ直ぐに溶液の方向に向くのではなく、タンパク質表面に沿うように存在している。このような位置関係により、糖鎖が持つ外側のアンテナに結合しているガレクチンが、タンパク質表面にも十分に接近して相互作用を発揮する可能性が高くなる(図 4でも説明した)。

7. 多価相互作用、親和性、および架橋

細胞表面や糖タンパク質、その他のリガンドに対するガレクチンの二価あるいは多価結合には、理論的に2つの効果―架橋の誘導および親和性の増強の両方またはいずれかーがあると考えられる。ガレクチンが持つ多くの生物学的作用にとって架橋形成は明らかに重要であるが、多価相互作用による親和性の増強は、ガレクチン全体として見ると全く、あるいはわずかしか寄与しておらず、上述した肝臓アシアロ糖タンパク質受容体に見られるグリコシドのクラスター効果には全く及ばない8。「よって、ガレクチンは一価親和性が低いが、多価相互作用によって親和性が増強されている」という主張がよくなされるが、これは大きな誤りである。

多価相互作用による親和性増強を主張するには、関連する一価相互作用と公正に比較する必要があるが、このような比較はほとんど行われていない。例えば、単一のガレクチンCRDに対し、ラクトシドの多価クラスターと同じ相互作用を示すと考えられる一価のリガンドをリンカーやタンパク質部分によるサブサイトEとのより広い相互作用を含めて溶液中で阻害物質として試験し比較した研究がある。大きなクラスターになると、ラクトース部分の数に比例して阻害力は増加したが、ラクトースあたりの親和性が高まることはなかった46。別の方法としては、一価作用に関する(二量体になれない)変異体の阻害作用を野生型ガレクチンと比較するという手もある。この方法により、二量体になれないガレクチン-1の変異体でも、野生型のガレクチン-1と同等のアシアロフェツイン(ASF)親和性を持つことが示されている42。このアッセイでは、溶液中において低濃度のガレクチン-1(0.4 μM)について検討がなされており、より大量のASFが阻害物質として用いられていた。これが意味するのは、測定されたKdが最初に結合したガレクチン分子に関するものである可能性が高い、つまり一価の相互作用である可能性が高いということである。同様のアッセイにおいて、一価の相互作用しか有さない(CRDのN末端ドメインを欠いている)ガレクチン-3も、野生型ガレクチン-3と同じASF親和性を示した15

また、ELISA、Surface Plasmon Resonanceまたは細胞への結合アッセイのように過剰量の可溶性ガレクチンを、ある基盤表面に固定化したリガンドに結合させるという、別の種類のアッセイも行われている。この例でも、一価ガレクチン-1の親和性は、野生型ガレクチン-1と同程度47、あるいはわずか(約3倍)しか低下しなかった35,47。リガンドでコートした表面(または溶液中のASF)に対して添加するガレクチン-3の濃度を増加させると、分子同士が協力しあっているかのように結合が増強する。そしてこの結合増強は、架橋を生じることができるN末端ドメインに依存して起こる48,49。このガレクチン-3の自己会合については、本シリーズにおいて佐藤氏が詳細に解説している50,51。ここでは、この独特な特徴について数点だけ補足する。このガレクチン-3の自己会合は、リガンドに対する親和性増加をもたらすものではない。その証拠としては、例えば、同濃度のラクトースが、ラミニンに対するガレクチン-3の結合を、ガレクチン濃度が高いか低いかにかかわらず阻害することが挙げられる49。むしろガレクチン-3には、それ自体が積み重なっていく性質があるようである。つまり、糖鎖結合部位が利用されるのではなく、ガレクチン-3分子同士が結合するのである。ガレクチン-3の濃度を上昇させても、結合が飽和に達することはない。非標識ガレクチン-3を添加して濃度を上昇させても、受容体結合アッセイで通常みられるような微量の標識ガレクチン-3との競合は生じず、むしろ結合が増強される。このような現象は、表面に固定された糖タンパク質(IgEやラミニンなど)34,48,49、可溶性糖タンパク質(ASFなど)、さらには細胞表面において認められる43。ガレクチン-3の自己会合は、糖結合部位をブロック(消費)するばかりか、糖鎖リガンドが占有する部位を超えて結合を阻害する。この現象に関しては、ガレクチン-3の糖認識部位に特異的に結合するフルオレセイン標識プローブを用いた蛍光異方性アッセイによって直接的に観察されている43。ラクトースによって阻害されることが知られているCRD-CRD結合が、この現象を説明するのではないかと考えられているが、別のメカニズムによる説明も可能かもしれない。

8. 細胞表面へのガレクチンの結合

ガレクチンの細胞表面に対する結合親和性や結合部位数を決定することは難しい。なぜなら、ガレクチン濃度を増加させても結合が飽和しない場合が多いため(例としては、23を参照)、通常のScatchard解析ができないからである。このような難しさの理由はおそらく、ガレクチンに対してさまざまな親和性をもつ結合部位が複数存在することに加え、上述したガレクチン-3の自己会合現象も考えられる。我々は、別の方法として、細胞表面への結合を阻害するのに必要なラクトース濃度を測定することで、ガレクチン-8の親和性を0.1μMの範囲、個々のCRDの親和性を約2μMと推定した6。これらの濃度は、エンドサイトーシスを阻害するために4℃で実施された多くのFACS解析において、他のガレクチンに認められる値と変わらない「適合できる」濃度である。

糖鎖修飾機構に変異を有する細胞を用いた実験を行うと、どのガレクチンについても、複合型N-結合型糖鎖が主要な結合部位であることを明確に示すことができる。例えば、重要な酵素であるMgat1を欠失させると、結合が大きく低下する。ただし、ガレクチン-8のN末端ドメインは、シアル酸依存性の結合を示す。また、上述の短い糖鎖に対する特異性から予想されることであるが、2-6結合シアル酸の過剰発現は、ほとんどのガレクチンに対する結合を大きく低下させる。しかし、N-結合型糖鎖における種々の第3および第4アンテナ(の生合成)に必要なMgat4A/BおよびMgat5を変異欠失させても、細胞表面における結合には全体としてあまり差が出ないようである22,23。したがって、上述した特定のN-結合型糖鎖に対する選択性は、細胞全体への結合を4℃で検討した場合と比べて、さほど明らかにはされていない。実際、細胞表面に対するガレクチン全体の結合は、N-結合型糖鎖内におけるLacNAc残基の位置ではなく、LacNAc残基の数によって決まるとされており、生物学的に同等であると言われている52。このことはおそらく部分的に正しい。というのも、細胞はLacNAc残基の密度を調節しているようであり、例えばポリ-N-アセチルラクトサミンへの結合などによって、豊富にある場所から不足している場所へと補填している14,23

選択性はおそらく、本シリーズの別の解説記事53および上述のいくつかの例15,25,30,31,53.で示されるように、37℃のin vivo条件下でより明確に現れる。細胞表面の糖タンパク質やガレクチンは、高速で移動していることに加えて、比較的短い時間スケール(分単位)で起きるエンドサイトーシスとエキソサイトーシスのサイクルに組み込まれている。この複雑さの例を挙げると、インタクトなガレクチン-8は細胞表面に結合する際に、N-結合型糖鎖を必要とするが、2-3シアル酸は必要としない6,22。しかし、エンドサイトーシス後の細胞内輸送には、2-3シアリル化ガラクトシドに対するN-CRDの強い結合が不可欠である54。この知見に基づいて、我々はSusanne Carlsson(これらの論文の筆頭著者)の博士論文において、特異性を"Broad outside, fine inside(外側は大ざっぱ、内側は精細)"と表現した。生細胞や動物においてガレクチンの特異的相互作用が織りなす複雑なモザイクを解読することは、大きくかつ興味深い課題であるが、また別の機会としたい。

9. 非常に高い親和性の結合?

いくつかの研究では、驚くほど低濃度のガレクチン(nM)を細胞に添加して、作用が見られることが示されている18,55,56。この知見に関しては説明が必要であり、1つの可能性として考えられるのは、ガレクチンに対して低nMの親和性を有する糖タンパク質受容体が存在していたということである。このことを示すエビデンスは、より広範な検討がなされた上述の実験でも得られていないため、認められた相互作用は非常に選択的なものなのかもしれない。この強い相互作用は多価性によって作られるものかもしれないが、一価の相互作用でも可能である。少なくとも人工的なリガンドが相手の場合であれば、親和性が低nMのレベルにまで達しうるからだ7,57。たとえ非常に高い親和性の糖タンパク質受容体が発見されたとしても、豊富に存在するガレクチンに結合する低親和性の細胞リガンドが多数あるはずである。さらなる研究が待たれる興味深いシナリオである。


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