糖鎖は全ての細胞の表層を覆い、細胞内ではタンパク質の品質管理、細胞外では多細胞間相互作用において極めて重要な役割を担っています。また、がん化や分化に伴い構造が変化することから、近年では創薬標的や細胞品質管理マーカーとしても注目されています。しかし糖鎖は授業で学ぶ機会が少ない上に、教科書を読んだだけでは簡単にポイントを把握することができません。そのため、いわば糖鎖は生命科学の最後の砦といっても過言ではありません。Glycotextでは、糖鎖の先端研究者がTIAnano Bio Summer Schoolでの講義で用いた資料をそのまま公開しています。講義資料は糖鎖を学ぶ上でのポイントが整理されており、皆様の勉強のための副読本として、また授業の際の教材としても役立つことと思います。是非、皆様の目的にご活用頂ければ幸いです。
TIAnano Bio Summer Schoolは糖鎖とレクチンの基礎と応用について学ぶ機会を提供するため、2017年につくばイノベーションアリーナ(TIA)の支援を受けて開始し、毎年夏に開催してきました。本サマースクールでは糖質科学分野で最先端の研究を進めている研究者から、糖鎖とレクチンの「基礎」から「最先端の研究成果」についてじっくりと講義頂きます。それぞれの研究者が糖鎖をどのように捉え、理解し、説明するのかを知ることは、学生のみならず、我々研究者にとっても大変勉強になります。また他分野で活躍されている研究者もお呼びし、糖鎖との融合を見据えた次世代の研究についてもご紹介頂きます。同じテーマでも講師によって視点は千差万別です。様々な講師の講義を受けることで、糖鎖やレクチンのみならず、生命科学全般の理解を深めることができます。自ら考える機会を得るため、また参加者同士の交流を深めるために、演習の時間を設けています。学生はもちろんのこと、企業や研究機関の研究者の皆様にも十分有益なものとなるよう企画しておりますので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
Glycoforumは、TIAnano Bio Summer School(糖鎖・レクチン)の主旨に賛同し、スクールで提供される高品質の講義テキストを、糖鎖・レクチンについて学びたい学生や社会人の皆様に提供してまいります。
TIAnano Bio Summer School(糖鎖・レクチン)が2019年を最後に開催されていないため、2021年以降は生化学工業社内で実施した講義で、使用されたテキストを掲載しています。