Glycoforum

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Liver and Glycosylation

肝細胞がん特異的抗原
Glypican-3

〜がん免疫療法の標的として〜

清水康博、中面哲也 

last updated 2019/04/01(2019 Vol.22 (1), A1)

がん治療は、これまで手術・化学療法・放射線療法が主流であったが、第4の治療法としてがん免疫療法が注目されている。近年の免疫チェックポイント阻害抗体の飛躍により1, 2、その効果は疑いようのないものとなった。それらの功績を称えられ本庶佑・ジェームズPアリソン両氏が2018年にノーベル生理学賞を受賞したことは記憶に新しい。このようにさらなる注目を集めているがん免疫療法であるが、効果が高く副作用が少ない治療を実現するためには、優秀ながん特異的抗原の同定が必須である。1991年にBoonらが悪性黒色腫に特異的ながん抗原を同定3して以降、世界中の多くの研究者が新たながん抗原の検索を行ってきた。我々は、2001年に肝細胞がんの特異的抗原としてglypican-3(GPC3)を同定した。これほどがん特異的な発現パターンを有する分子はなく、免疫療法の標的として非常に優れている。今回、この肝細胞がん特異的抗原であるGPC3についての概論を述べる。

Glycan and Database

糖鎖命名法及び
糖鎖関連リソースの概要

木下 聖子 

last updated 2019/04/01(2019 Vol.22 (1), A2)

本稿は、糖質科学研究のためのバイオインフォマティクスリソースに関する一連のシリーズの最初を飾る論文である。本稿では、以降の論文を読む上で有用となる背景知識を簡単に紹介する。特に、糖鎖の表示に汎用されているテキスト及び記号命名法を、推奨する表示法とともに、記載する。次に、本シリーズで紹介するリソースの種類について簡潔に説明する。糖鎖関連ウェブリソースは、統合的データベースから、ウェブサービス、ウェブポータルまで多岐にわたる。このようなデータ網からの抽出作業は困難であり、本稿は、これらのリソースの現状に関する情報を、ユーザーに理解しやすく整理しようとするものである。糖タンパク質だけでなく糖脂質、プロテオグリカン、GPIアンカーなども網羅する「複合糖質」の項を設けているが、現行のデータベースは一般的に糖タンパク質のみを対象としていることに留意されたい。ただし、他の種類の複合糖質が忘れ去られているというわけではなく、今後の開発の課題となっている。

Glycotopics

C型レクチンLangerinに結合するケラタン硫酸糖鎖の合成展開と抗炎症作用

木塚 康彦 / 谷口 直之 

last updated 2019/04/01(2019 Vol.22 (1), A3)

ケラタン硫酸は、硫酸化された2糖が繰り返しつながった糖鎖で、タンパク質に結合して存在している。ケラタン硫酸を構成する2糖は硫酸化のパターンが異なるものがあり、2糖の6位の水酸基がともに硫酸化された構造はL4と呼ばれている。L4は、抗炎症作用を持つことがわかってきており、特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のモデルマウスにおいて肺気腫化を抑えることが示されている。その作用機序の一つとして、樹状細胞などに発現するC型レクチンであるLangerinとの結合を介した免疫細胞の機能調節が示唆されている。我々は、L4の化学的なオリゴマー化によってLangerinとの親和性を高めた誘導体を創出し、Langerinとの結合解析およびCOPDモデルマウスにおける抗炎症効果やそのメカニズムの解析などを行なっている。

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