Cellulose


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酢酸菌によるセルロース合成メカニズムの解析とその応用

天野 良彦 / 水野 正浩

last updated 2024/08/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (4), A14)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.27A14J

セルロースは地球上で最も多く再生産される天然の高分子であり、近年再生可能な資源として注目されている。セルロースの多くは植物由来で、パルプ製造から種々の材料として利用されている。しかしその生合成のメカニズムは、未解明の部分も多く、生物起源による違いも顕著である。それらを人為的にコントロールできるようになれば、応用面もさらに広がることが期待される。そこで我々は、酢酸菌を用いたセルロース合成の機構に関する研究と、その生産物を使った応用研究を展開してきているので、その一端を紹介する。 ...and more

双性イオン液体:ワンポットでの連続バイオエタノール生産

黒田 浩介

last updated 2024/04/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (2), A7)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.27A7J

セルロース由来の第二世代バイオエタノールの実用化は困難である。それは、セルロースは結晶性が高く、化学反応に対して耐性が高いことが理由である。そのため、セルロースの結晶化度を下げる「前処理」と組み合わせる必要がある。しかし常温・常圧・短時間でセルロースを前処理できる溶媒がなく、セルロースの前処理に大きなエネルギーコストが掛かってしまっていた。その結果として、バイオエタノール生産と消費におけるエネルギー収支が負になっていた。 イオン液体と呼ばれる100 °C以下で液体の塩を用いると、セルロースを溶解できることが2002年に報告された。それ以降、イオン液体が改良され、カルボン酸系あるいはリン酸系アニオンを有するイオン液体を用いると、常温・常圧・比較的短時間でセルロースを溶解できるようになった。その結果として、前処理に掛かるエネルギーコストが大きく削減可能になった。しかしエタノールのエネルギー密度は小さく、エネルギーコストをさらに下げることが求められている。 そのため、次に達成すべきはプロセスの連続性である。セルロースをエタノールへ変換する際には「前処理」に加え、「加水分解」「微生物発酵」が必要になる。しかし、前処理に用いたイオン液体が酵母などの微生物に対して強い毒性を示すため、上記プロセスを一つの容器内(ワンポット)で連続的に完結させることができない。そこで我々は2017年ごろ、セルロースを溶解できる低毒性イオン液体を開発した。 ...and more

セルロース誘導体を用いるバイオマス粉末の押出成形

野中 寛

last updated 2023/12/01 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (6), A22)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A22J

地球温暖化のみならず、海洋プラスチックごみ問題等が深刻視され、プラスチック製品を環境に優しい材料に代替する動きが加速している。木や草などバイオマス資源は、昔から地球上に存在し、自然の浄化能力内で代謝されうる「究極の環境調和性材料」といえるが、それ自身に熱可塑性がなく、プラスチックのような成形加工を行うことができない。本稿では、バイオマスを粉末化し、セルロース誘導体を混合するアプローチにより、石油系樹脂不使用でバイオマスに成形性を付与し、押出成形により三次元成形を実現する取組について紹介する。 ...and more

セロオリゴ糖の自己集合化によるセルロース素材の高機能化

秦 裕樹 / 芹澤 武

last updated 2023/10/02 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (5), A20)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A20J

セルロースは安価な汎用素材であり、紙や布などとして古くから幅広く利用されてきた。近年では、持続可能な開発目標(SDGs)への機運の高まりもあり、代表的なバイオマス由来高分子であるセルロースを高機能材料にも適用範囲を広げる研究が進められている。本稿では、セロオリゴ糖(すなわち短鎖セルロース)の自己集合化によりセルロース素材を高機能化する我々の研究を中心に概説する。セロオリゴ糖は、天然セルロースの分解ならびに酵素触媒重合を利用した化学合成により調製することができる。前者はスケーラブルな方法であり、得られるセロオリゴ糖を自己集合化させることでナノ構造をセルロース素材に修飾することができる。後者では、機能基をもつセロオリゴ糖を合成できるため、それをセルロース素材に複合化することでナノ構造のみならず機能基を導入できる。 ...and more

セルロース微結晶の磁場配向

和田 昌久

last updated 2023/8/01 (Glycoforum. 2023 Vol.26 (4), A14)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.26A14J

天然セルロース(セルロースI)を酸で処理して調製したセルロース微結晶は、幅ナノメートルサイズのウィスカーであり、高強度、高弾性率、低熱膨張率などの特性を有することが知られている。また、反磁性体であるセルロースに磁気異方性があることは古くから知られており、強磁場を利用したセルロースI型微結晶の磁場応答に関するさまざまな研究が行われてきた。一方で、レーヨンなどの再生セルロース繊維の結晶形であるセルロースⅡの磁場応答に関する研究は行われてこなかった。そこで、本稿では、セルロースI型微結晶の磁場配向挙動について概説するともに、セルロースII型微結晶の酵素合成とその三次元磁場配向化に関する最近の我々の取り組みを紹介する。 ...and more

セルロース合成酵素 −常温常圧水系溶媒下で高分子を構造制御する分子−

今井 友也

last updated 2021/04/01 (Glycoforum. 2021 Vol.24 (2), A4)  
DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A4J
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