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KDN-ガングリオシドは、KDNを結合するスフィンゴ糖脂質のことであり、1991年、初めてシアル酸残基としてKDNをもつGM3、すなわち(KDN)GM3がニジマス精子中に見いだされた2。KDN残基はバクテリアから哺乳動物まで広く存在分布するが、KDN-ガングリオシドは、魚類卵、卵巣液、精巣、精子に見いだされている他に3、哺乳動物において、種々の細胞、組織に微量であるが存在が確認されている。
構造が明らかにされたものは以下のとおり:(KDN)GM3, II3KDN alpha-LacCer; (KDN)GD1a, IV3KDN alpha, II3KDN alpha-Gg4Cer; (KDN,Neu5Ac)GD1a, IV3KDN alpha, II3Neu5Ac alpha-Gg4Cer and IV3Neu5Ac alpha, II3KDN alpha-Gg4Cer; (KDN)GD1 alpha, IV3KDN alpha, III6KDN alpha-Gg4Cer; (KDN,Neu5Ac)GD1 alpha, IV3KDN alpha, III6Neu5Ac alpha-Gg4Cer; (O-acetylated KDN)GD1a, IV39-O-acetyl-KDN alpha, II3KDN alpha-Gg4Cer.
KDN残基は種々の細菌、ウイルスおよび動物由来のシアリダーゼの作用に対して抵抗性あるいは低感受性であるが、少数例ながらKDNケトシド結合を加水分解する酵素の存在が知られている。ひとつは、KDN残基と同時にNeu5Gc残基も切断するKDN-シアリダーゼと呼ばれる一群の酵素で、ニジマス卵巣の他、ドジョウの肝臓、カキ、ヒトデ゙の肝膵臓に存在が知られている。もうひとつは,Neu5AcとNeu5Gc残基には作用せず,KDN残基のみを切断するKDNアーゼであり、Sphingobacterium multivorumが生産するKDNase Sm(4)、およびカキ肝膵臓由来の酵素(5)が知られている。 | |
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References | (1) | Nadano, D, Iwasaki, M, Endo, S, Kitajima, K, Inoue, S, Inoue, Y J. Biol. Chem. 261, 11550-11557, 1986 |
| (2) | Yu, S, Kitajima, K, Inoue, S, Inoue, Y, J. Biol. Chem. 266, 21929-21935, 1991 |
| (3) | Yu, S, Kitajima, K, Inoue, S, Khoo, K-H, Morris, H R, Dell, A, Inoue, Y, Glycobiology 5, 207-218, 1995 |
| (4) | Kitajima, K, Kuroyanagi, H, Inoue, S, Ye, J, Troy, FAII, Inoue, Y, J. Biol. Chem. 269, 21415-21419, 1994 |
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(5) |
Pavlova, NV, Yuziuk, JA, Nakagawa, H, Kiso, M, Li, SC, Li YT, J. Biol. Chem. 274, 31974-31980, 1999 |
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